2008年01月03日 木曜日
■ 正しい意見を間違っているかのように印象づけるテクニック

元の本文:
=============================
ある正しい意見Aを主張している人が10人いたとする。
その10人のうち、一番的外れな議論をしている1人の意見を採り上げ、
それがいかに的外れであるかを証明してみせることで、
まるで正しい意見Aが間違っているかのような印象を人々に与えることができる。
これは、実社会において間違った意見を押し通すときに頻繁に使われるポピュラーなテクニックだ。
この、南京事件「南京厨」への見事な対処法という
記事は、このテクニックを使って、いやらしい印象操作を行っている。*1
私個人としては、南京事件は実際にあったことだと思っている*2ので、
この記事に共感してもいいはずなのに、とても公平な議論のようには見えず、
まるで共感する気にはなれなかったのは、そのためだ。
それがあの記事の根本的な問題であり、多くの問題がここから派生している。
ポイントは、たとえ南京事件がなかったとしても、
「南京事件はあった」という議論を展開すること自体は、
それほど難しくない、ということ。中国共産党にとっては、なおさらそうだろう。
そもそも、レイプも虐殺も皆無の戦争なんてほとんどないんだから、
貼れば、はい、一丁、南京事件のできあがり!なわけです。
この意味で、「歴史的事実」などいくらでも捏造できるし、
それを「立証」することなど簡単だ。
戦争なんだから、虐殺・レイプされた人は必ずいるはずで、だから、ほら、虐殺・レイプされた人はいるでしょ。それが動かぬ証拠でしょ。立証されたでしょ。と言えばいい。
これは、要するに定義の問題。「南京において中国人が虐殺・レイプされた事件」を、南京事件と定義するなら、虐殺・レイプがないわけがないんだから、0か1かでいうと、必ず1になる。すなわち、虐殺・レイプはあった、ということになる。
だから、もちろん、中国側が「南京事件」を問題視しているのは、
一線を画した、悪質な戦争犯罪である」
からであって、
よくあるレイプや虐殺自体を問題にしているからじゃない。
もちろん、虐殺やレイプはどんなものであれすべて悪質だ。しかし、それは次元の違う話だ。
どちらの戦争当事国の住民も行っており、
南京事件だけを特別に悪質であるとして取り上げ、
アメリカやヨーロッパで非難決議を出すほどのことにはならないだろう。
大量虐殺や大量レイプ自体は、中国やアメリカを含む多くの国の人々自身も、
いくたびも行っているが、それらの一つ一つについて、
最近まで国家レベルの謝罪が求められ、非難決議が行われているという話は、
少なくとも多くの一般の日本人が耳にするほどアピールされてはいない。*3
たとえば、ベルリンでは凄まじい数の大レイプ大会が起こったが、
最近なされ、国家レベルの謝罪が求められたという話は聞かない。*4
満州から引き上げてくる日本人の女性がレイプされ、虐殺されたこと
についても同様。
また、戦争をしかけた側の民間人はレイプされても問題ではなく、
戦争をしかけられた側の民間人がレイプされることが問題なのだ、
という話も間違っているだろう。
大量レイプ・大量虐殺をしていい、ということにはならないからだ。
だから、問題は、「とくに特別視されない、他の戦争における無数の虐殺やレイプ」には
存在せず、「南京事件が他の虐殺やレイプとは一線を画す悪質性」なのだ。
この「差分」こそが問題なので、公平な議論をするなら、この「差分」の部分に
焦点をあてて議論するべきだろう。
すなわち、「国家的な謝罪が必要」だと、諸外国において非難決議が
なされるような虐殺やレイプと、そうでない虐殺やレイプとの「差分」の部分だ。
もし、この「差分」の部分がなかったとすると、
「南京事件」というのは、
他のよくある戦争中のレイプや虐殺に「○○事件」というラベルを貼っただけの
プロパガンダにすぎないということになってしまう。
これは、マーケティングや広報の人間なら、消費者を洗脳して自社製品を買わせるために、ごく当たり前にしょっちゅう行っているマーケティングテクニックor広報テクニックであり、見慣れたものだろう。
また、当時の国際法云々と言ったところで、
どんな国際法であれ、レイプの正当性など認めるわけがないので、
南京事件だけが特別に国際法違反だ、ということには
ならないだろう。
にもかかわらず、南京事件について議論する右よりの人も、左よりのひとも、
この差分の部分をあまり明確に証明できているようには見えない。
だから、この意味で、南京事件「南京厨」への見事な対処法
における、はしげた氏の議論は、少なくとも私のように知識のない素人から見ると、
本質的に説得力を持たない。
ちなみに、私個人の考えでは、南京事件を特別視せず、
まずは、日清・日露戦争・第一次大戦も含め、
「よくある」虐殺・レイプ全てについて、
日本自身が積極的にその事実を認め、各国に謝罪をして
回るべきだと思っている。
「よくある」虐殺・レイプについても、非難し、謝罪を求めて回る
といいだろう。
つまり、「差分」をはっきりさせるのは、
手間と時間のかかりすぎる作業なので、
むしろ、逆に、南京事件を特別視するのを止めて、
自国のものも他国のものも、一緒くたにした
無数の虐殺・レイプを、同列にずらずら並べて
長い長いリストを作って、一緒に扱えばよい、
ということだ。
世界中で、みんなで、飽きるまで何千回でも
ごめんなさいを言い合えばいいのではないかな。
で、話を戻すと、上記以外にも、細かいツッコミどころはたくさんあるが、
いちいちやっていると、長くなってウザイので、とりあえず、
「正しい意見を間違っているかのように印象づけるテクニック」を
使っているという点と、
「肝心な部分を議論していない」という点について、
ツッコミを入れておく。
と言ったのは、そういう意味だ。
http://d.hatena.ne.jp/navecin/20080102/1199270728
少なくとも、専門知識があるというのなら、
上記の「差分」の部分を、素人にもはっきりわかるように、
明確に説明してもらいたい。
それから、「どうせ、専門家以外には分からないのだから、
素人はだまってろ。」的な主張がよくみられるが、
だったら、専門家同士だけで、うちわで話していればいい。
わざわざ、読者のほとんどが素人であるような
ブログ記事に書いておいて、「素人にはわからない。」
従えばいいのだ。もしくは、大量の本を読んでから
発言しろ。」とでも言うのだろうか?
だとすれば、日本の政治も、霞ヶ関官僚の専門家の方々に
まかせておけば、いいということなのだろうか?